Dog on Deck

一瞬、地下と錯覚するような構造の広々としたパーキングロットの空いている
スペースを見つけ、男はそこにクルマをねじ込んだ、
これから向かう場所にはとても相応しいとは思えない小振りなレンズが装着
されたカメラを取り出し肩から斜めに掛けたそれは腰の位置まで来ている
その上から一風変わったイタリア仕立てのPコートを羽織い歩きだした男の
姿は とてもカメラをたずさえているようには、見えない。

傾斜のついた回廊を進み建物のルーフに着くと視界は一瞬にして開ける、
そこは港のほぼ全てを見渡すことが出来る 巨大な客船ターミナルだ、
既にデッキには三脚に長玉を構えた“先客”達が陣取り、日の入りが近い事
を伝えている、その列に臆する様子も無く大きめのストライドで歩いていく男。

光の色が変わり、ビルと富士の狭間に太陽が沈み始めたのか、一斉に
シャッター音がデッキに響き渡る、 しかし ただ一人その景色に背を向け
カメラを構える男、 そしてシャッターを切る、 その先には・・・・・

どうやら その場所で 落陽を堪能していないのは 男だけのように、見えた・・・
by nobtee
| 2008-02-15 00:12
| 犬と男

